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画友 白髪一雄と金山明

尼崎市神田中通

白髪一雄(左)と金山明(右)、1950年頃
提供:公益財団法人尼崎市文化振興財団
© Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association

白髪一雄は尼崎の画家として知られているが、実は「具体」で共に活躍した金山明も尼崎出身で、二人は幼馴染みだった。小学校時代から絵が得意だった二人は画家になることを目指す。白髪は京都市立絵画専門学校に進み、金山は多摩美術大学へ入学したが後に中退した。白髪は在学中に太平洋戦争のため徴兵され、赴任中に一時帰宅していた尼崎で終戦を迎えた。その後復学したものの、病気のため自宅で半年間ほど療養することになった。そのころ尼崎市内の阪神電鉄出屋敷駅近くで古本屋を営んでいた金山が、療養中の白髪に請われて美術書を贈った。その本に書かれていた絵画論が、後に白髪の画家としての方向を決定づけた。そして二人はお互いの進むべき道を定め、白髪が「熱い抽象画」、金山が「冷たい抽象画」の最先端を行くことを約束しあったという。二人は「具体」でのグループ活動を終えた後も、それぞれの「抽象画」を追求し続けた。

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