コラムCOLUMN
宇宙時代の美術―「阪神パーク」と「具体」
西宮市甲子園八番町
「阪神パーク」は阪神電鉄が運営する総合遊園施設。「御大典記念国産振興阪神大博覧会」(1928年)跡地にできた「甲子園娯楽場」(1929年)が起源であり、1932年に「浜甲子園阪神パーク」に改称、水族館、海浜動物園を擁する教育的な総合レジャー施設に成長した。戦時に閉園したが、1950年甲子園球場南東に「甲子園阪神パーク」として復活、2003年の閉園まで続いた。 同パークで1967年に開催された「グタイグループによる宇宙時代の美術」展も、阪神間モダニズムや博覧会の文脈に連なるものであった。1960年代中頃から「具体」には新会員が加わり、高度経済成長に呼応するかのように、それまでの身体性や物質性よりも、新素材や光、機械的な動きを取り入れた作風へと変化していった。泡を用いた吉田稔郎によるインスタレーションや、ブラックライトとアクリル板を組み合わせたヨシダ・ミノルの立体作品など、1970年の万国博覧会での「具体」の活躍を先取りするものとなった。