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白髪一雄《泥にいどむ》1955年、第1回具体美術展、小原会館(東京)
村上三郎《通過》1956年、第2回具体美術展、小原会館(東京)
提供:大阪中之島美術館
村上三郎《通過》1956年、第2回具体美術展、小原会館(東京)
©Murakami Tomohiko
提供:大阪中之島美術館

「真夏の太陽にいどむモダンアート野外実験展」(1955年)において、「具体」メンバーたちは、広大で複雑な松林の空間に対処するなかで、今でいうところのインスタレーションの先駆的な作品を多数生み出した。引き続き東京青山の小原会館で開催された第1回具体美術展(1955年)は、野外展で開花した表現を、屋内空間にこれでもか、と詰め込むようなものだった。美術界からはほぼ黙殺される一方、白髪一雄の《泥にいどむ》に代表されるショッキングなアクションは注目を集め、新聞の文化面ではなく社会面に「事件」として取り上げられる。マスコミから何度も取材されるのに辟易した彼らは、やはり小原会館で開かれた第2回具体美術展(1956年)ではプレス・デーを設けた。取材陣にアクションを公開する経験を通じて、彼らは制作の結果のみならずプロセスの重要性を認識する。それはやがて「舞台を使用する具体美術」(1957、58年)へとつながっていくのである。

白髪一雄《泥にいどむ》1955年、第1回具体美術展、小原会館(東京)

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