コラムCOLUMN
勝ってくるぞと勇ましく
まだ東海道新幹線が開通していなかった当時、大阪→東京間は特急「つばめ」で約8時間を要した。そして第1回具体美術展のために上京する際、大阪駅のプラットフォームに集った「具体」メンバーの様子はいかにも異様だった。白髪一雄の手には、制作で使用する大きな斧が握られていた(今なら即通報ものだろう)。村上三郎は日本酒の一升瓶をぶら下げ、山崎つる子はド派手なドレス姿である。一体あなたたちは何者か、と他の乗客が問いかけると、長身で存在感のある元永定正が人懐っこい笑顔で迫り寄ってくる。美術家の集団には、とても見えなかったようだ。ちなみに村上の一升瓶は、電車が出発するまでの待合中に、ほとんど空になってしまったという。
関連場所
旧国鉄大阪駅(現JR大阪駅) 大阪市北区梅田