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白髪に影響を与えた尼崎のまち 尼崎中央商店街周辺

尼崎市神田中通、開明町など

 

白髪が多感な時期に影響を受けたという昭和初期の尼崎の町は、尼崎城の堀が残り、古くから西国と京都を繋ぐ港町として栄え、漁業も盛んであった頃の面影が残っていた。本町通商店街にあった白髪の生家「木市呉服店」は当時、阪神間一といわれるほど繁盛していた。幼少時の白髪は映画館や芝居小屋に連れられて観たものを描いたり、父が趣味でそろえた油彩の画材や西洋画の画集を眺めたり、中国の歴史小説を愛読するなど、歴史的なものと新しいものが混じり合う場所で、東西の文化に触れながら育った。呉服店の近くにあった貴布禰神社の夏祭りでは、二基のだんじりが激しくぶつかり合う。血気盛んな祭りを間近で見た幼少期の記憶は、白髪のアクション・ペインティングの根底にある。作品から放たれる荒々しさを、「具体」のリーダー吉原治良にも尼崎的と評された。本町通商店街は戦争中になくなり、戦後に場所を移し中央商店街として再興された。工業都市として発展するにつれ城下町の雰囲気は次第に失われたが、今も商店街の賑やかさと、その南側にある寺町界隈の歴史ある佇まいが残る。

 

 

関連場所

尼崎中央商店街 尼崎市神田中通

貴布禰神社 尼崎市西本町6丁目246

本興寺 尼崎市開明町3-13

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