具体フィールドミュージアム

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「具体」の女性作家たち

田中敦子《電気服》1956年、第2回具体美術展
©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association
提供:大阪中之島美術館

同時代の前衛芸術運動と比較して、女性作家が男性と対等に活躍しているのが「具体」の大きな特徴である。ひとつの要因は、リーダーの吉原治良が、作家の出自や属性にこだわらず、作品の造形性を特に重視したことがあるだろう。

田中敦子と山崎つる子はいずれも鮮やかな色彩を好んだ。田中の代表作《電気服》(1956年)は明滅する電球でできたドレスであり、いわば光=色彩を身にまとうものだった。他方の山崎は、野外展の出品作《赤》(1956年)において、真っ赤なビニール製の立方体により「赤」という色彩そのものを作品化することを試みた。対照的に、白髪富士子の作品において色彩は控えめである。野外展における《白い板》(1955年)は、「空間を真っ二つに切り裂きたい」という途方もない願望がまず存在し、小手先のコンポジションを廃しつつ、それをいかに実体化するかを試みたものだった。

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